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原油急騰が旅行代金にも影響、燃油サーチャージで苦情殺到 [ビジネス・経済]

旅行会社が企画するツアーなどを使って格安で海外旅行プランを組んだつもりなのに、請求書を見るとツアー金額と同じ程度の追加料金があった。金額の大小はあれ、そんな経験を持つ人も多いと思う。

これは2005年1月から国際線に導入された「燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)」という制度による付加運賃によるものだ。

燃油サーチャージは燃油価格の高騰に伴い導入された制度で、利用者は通常の航空運賃に上乗せする形で支払う。価格は3カ月ごとに見直されるが燃料価格の高騰下で、引き上げが続いている。

日本航空と全日本空輸の2社は今年7月からさらに、片道1000~8000円引き上げることを決定している。

この燃油サーチャージに関する旅行者からの苦情が相次いでいるという。
今回は燃油サーチャージについてG-Saerchの「新聞・雑誌記事横断検索」を使い調べてみた。

●総額表示されていないパンフレット

苦情の多くは「想定以上の旅行費用がかかった」「二重価格に見える」「料金が不透明」「詐欺にあったよう」というものだ。

旅行パンフの大半には、燃油サーチャージの価格が記載されておらず、料金表の近くに小さく「燃油サーチャージは含まれておりません」と書かれているだけであり、そのことが苦情に繋がっている。

また燃油サーチャージ料金の高騰も要因だ。

燃油サーチャージは前年比で約1・6倍にもなっているといい(08年5月時点)、年々値上がりする燃油サーチャージは旅行代金にも迫っている。

例えば某社のハワイ・ホノルルツアーだと、パンフ記載は十数万円の旅行代金のみだが、実際には燃油サーチャージ4万円程度が追加でかかる。これについては金額表示されず、「別途加算されます」とだけ説明されている。

また某社の格安プランでは、旅行代金が29000円のところ、燃油サーチャージが28000円と、旅行代金を上回りそうなケースも見られる。

燃油サーチャージが安ければ大きな問題ではないだろうが、旅行金額の4割程度を占めるようになってきた昨今では「騙された」という苦情ももっともだ。

●なぜ総額表示されないか

燃油サーチャージが記載されないのは、燃油サーチャージの改定が3ヶ月毎行われる一方で、パンフレットは通常半年毎に作られる為だ。

予測がつきにくい燃油サーチャージの実料金が、パンフレット記載金額より上回った場合、差額分を旅行会社が負担しなくてはならない。そうした事情がある。

とはえい利用者から苦情増加もあり、日本旅行業協会(JATA)は08年5月、総額表示の導入を国内外の航空会社に要望した。

しかし、航空会社側からは「半年ごとという悠長な付加運賃改定では急騰する原油高のペースに追いつけず、影響を吸収しきれない」と反対する声が強く、着地点が見えない状況だ。

●7月に過去最大幅の値上げ

この燃油サーチャージだがJALとANAで7月1日からも値上げが予定されている。
ANAの値上げ幅は、それぞれの路線の片道で下の通りだ。

・日本~ヨーロッパ/アメリカ :8000円
・日本~中国         :2000円
・日本~韓国         :1000円

燃料価格の高騰に伴う値上げとしては、これまでで最大という。これは、今回の値上げの基準となる3か月の平均の燃料価格が、1バレルあたり126ドルと、前の3か月に比べ、15%以上、上昇しているためだ。

流石にこれだけ値上げが相次ぐと、海外旅行を控えようという気持ちも出てくる。

実際、ゴールデンウイークの出入国者数も昨年比9・6%減の約72万7600人にとどまったという。円高傾向から海外旅行人気があるかと思いきや、燃油サーチャージが前年比約1・6倍に高騰しているため、海外旅行を見合わせる旅行客が多かったとみられるようだ。

何もかもが値上げというご時世、早く原油価格が落ち着くことを祈るばかりだ。

(text by や)

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2008-06-09 19:51  nice!(0)  トラックバック(0) 
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